舞台『Le Père 父』が「健常者」へ問いかけること
どうも、いちこです。
先日、愛知県名古屋市のウインクあいち大ホールで、舞台『Le Père(ルペール) 父』を鑑賞しました。
この舞台は、橋爪功さん演じる認知症である父の視点から世界を捉えて物語が進行していきます。
認知症の人から見た世界なので、世界が色々と歪んでいます。
時間の進行が歪んだり、人の顔がきちんと認識出来ていなかったりします。
認知症の父は自分が見ている世界が正しいと信じています。
途中からは自分の捉えている世界に懐疑的になっていく様子が窺えますが。
余り認知症の人が見ている世界について考えたことがなかったので、新鮮でした。
そのように進行する舞台を観ていくうちに、この舞台は認知症の人の物語というだけではなく、認知症ではない「健常者」の物語でもあるではないかと思うようになりました。
「健常者」の人から見ると、認知症の人の見ている世界は歪んでいるように思えます。
しかし、では「健常者」の見ている世界は本当に歪んでいないのか?
自分の見ている世界は正しいのか?
自分の見たいことだけ見ていないのか?
自分の都合の良いように世界を捉えていないのか?
この舞台には、認識論的な問いを強く感じました。
私が見ている世界もきっと歪んでいるんだろうなあと思いました。
偏ったものの見方をしているように感じます。
非常に身につまされる物語でした。
皆さんもご覧になる機会があれば是非どうぞ。